クリプキクローネ日記帳

ある種の音楽と数学とランニングはミニマルなところが似ていると思う。

信号処理プロセッサ[青山友紀・小野定康(著)] (オーム社)

DSPの本です。教科書的な感じです。
1990年の本ですが前半の原理のところは古さを感じずに読めて勉強になりました。
むしろ昔の方が性能をハードの限界ギリギリまで出す必要があったので
説明に切迫感があってよかったです。

後半の応用の話題はさすがに古いので、
「コンパクトディスク(Compact Disc : CDと略す)の登場によって状況が変わってきた」(p.154)
とか、
「究極的には一人一人がポケットサイズの携帯電話機を持ち歩く時代がくると予想される」(p.173)
とか、
出てくるんですが、むしろそんな時代から
やってることややりたいことがそんなに変わらないというのがおもしろいです。
当時のこの業界の雰囲気を知らないので携帯の普及の予測がどこまですごいのかはよく分かりません。


AD/DA変換のビット数は多ければ多いほどいいみたいなもんかと思ってたけど、
量子化誤差、演算中の丸め誤差、必要なダイナミックレンジを全部数式で組み立てて、
必要十分なビット数を導き出すのがおもしろかった。
工学部はこういうことを大学でやるのか。

ソフト部分についても流れがガチガチでおもしろい。
シグナルフローグラフと状態方程式が決まった手順で相互に変換可能だったり、
シグナルフローグラフを決まった手順で変換していくとコードになるのがおもしろい。
全然ソフトっぽくない。
線形システムの線形であるメリットが最大限に活かされている。

この辺は数理論理学の完全性定理っぽい雰囲気がある。
シグナルフローグラフが意味論で状態方程式が証明論で、
片方が成り立てばもう片方も成り立つ、みたいな。
線形論理だとよりシステマティックになるあたりも似ている。

DSPのアーキテクチャのところはパイプラインとかノイマンボトルネックの話とか、
おなじみの話題が多くてついていきやすい。
内積も畳み込みも多項式演算(ホーナーの方法)も積和の繰り返しですねというのはDSPならでは。

こういう基礎的な内容を知らないで今まできてしまったのがやばい。
ある意味ではJavaの文法知らないよりずっとやばい気がする。
  1. 2016/09/23(金) 00:18:04|
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