クリプキクローネ日記帳

ある種の音楽と数学とランニングはミニマルなところが似ていると思う。

人月の神話 新装版[Frederick P. Brooks Jr(著), 滝沢徹, 牧野祐子, 富澤昇(訳)] (ピアソンエデュケーション)

古典です。読みました。


1975年の初版にいくつかの章を追加して「20周年記念増訂版」として1995年に出版されたものがこの新装版です。
追加された章も今読むと古さを感じるくらいなので、大部分のオリジナルのところはまさに古典です。
C言語が主流になる前の時代の大規模ソフトウェア開発の様子を垣間見ることができます。

とはいっても本書は技術的な本ではなくプロジェクト管理に関する本なので、
そのテーマや問題意識は現代にも通じるところがある、
どころか、ほとんどそのまま当てはまるようにすら思います。
「遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加は、プロジェクトをさらに遅らせるだけだ」
といういわゆるブルックスの法則が問題意識としてあって、
じゃあどうすればいいのかがいろいろな観点で議論されています。

プロジェクトチームを外科手術のチームに例えたミルズの案は、
そもそも外科手術についてよく知らないので例え方はピンとこなかったけど、
ツール製作者や言語エキスパートなどの役割分担の考え方が当時からあったことに驚きました。
他にも仕様書の記述方法や改訂頻度の話だとか、
デバッグ済みのコンポーネント(ライブラリ)を積極的に使う話だとか、
最初にプロトタイプを実装してみる話だとか、
生産効率の高い言語を選ぶ話だとか、
今もそのまま通用しそうな話がたくさん出てきます。

一方でやっぱり古くておもしろいところもたくさんあります。
ソースコードにコメントをたくさん書くとソースコードサイズが大きくなって記憶領域を圧迫する、とか、
GOTO文を減らすのはいいアプローチかもしれないが、禁止するのはいくらなんでもやりすぎである、とか、
コミュニケーション手段の選択肢として挙げられた中にメールがない、とか、
用語がそもそも今と違っていて、仕様、設計、実装、という言葉じゃないので分かりにくい、とか、
とにかくおもしろいです。
時代の違いがおもしろくて本来のテーマを忘れそうになります。

しかし、当時からこれだけ環境が大きく変わっているのに、
根本的な問題はそのまま残っていてモジュール再利用だとかプロトタイプだとか
当時と同じことが言われ続けているというのはちょっと愕然とします。
今後もしばらくは付き合っていかないといけない問題なんだろうと思います。
  1. 2016/12/20(火) 01:15:26|
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