クリプキクローネ日記帳

ある種の音楽と数学とランニングはミニマルなところが似ていると思う。

イラストレイテッド 光の実験 [大津元一(監修), 田所利康(著)]

これは綺麗。
光学の教科書を読んでいる気持ちと綺麗な絵を眺めている気持ちを両方同時に味わえます。


レンズの球面収差を説明するよくある例の図は収差の影響を誇張した図なのかと思ってましたが、
まさにあの図のままの写真が載っていたので驚きました。
単純な球面凸レンズ1枚の場合、外側は全然使えないんですね。

方向によって屈折率が異なる複屈折性(光学異方性)を持つ材料を直交ニコルの偏光フィルタ2枚で挟むと、
1枚目の偏光フィルタで直線偏光になったものが複屈折性で位相差が生じて楕円偏光になるので、
2枚目の偏光フィルタを一部透過します。
位相差と波長の関係で偏光の変化量が変わるので、偏光フィルタの透過量も変わります。
それによって色がついて見えるので、厚さや複屈折の向きの分布に応じて虹色になります。
プラスチックのCDケースが虹色になってる写真どこかで見た記憶があるけどこれだったのか!
光ってすごい。

光学異方性による偏光のずれと、鏡像異性体(光学異性体)による偏光の旋光性が紛らわしい。
後者は原理からしてよく分からず。偏光難しい。
偏光って直接観察できない現象だと思っていたけど、
ショ糖水中ビームで散乱方向が偏光によって変わる写真がすごい。
しかも同じ距離でも波長によって偏光の回転角度が変わるので、
白色ビームを入れると虹色になる。すごい。

ショ糖濃度をグラデーションにすると水中ビームが曲がる写真もすごい。
はっきりした屈折率の境界面がなくてもこんなに曲がるのか。

CD-R分光器にも衝撃を受けました。
CD-Rと一眼レフでこんなに綺麗にスペクトルが撮れるなんて。
フラウンホーファー線もきれい。

色温度の説明の写真にさりげなく東山魁夷の絵を混ぜてるところはお茶目。

顕微鏡で光学異方性の結晶を撮った写真が並んでいるページは壮観。
メントールもクエン酸もカフェインも綺麗。
酸化膜の膜厚分布で虹色になるビスマス結晶も綺麗だし、
真珠層の多層構造のトコブシやアンモナイトの虹色も綺麗。
紫外線で励起させた蛍石やラピスラズリの蛍光も綺麗。
色が出る原理はそれぞれ違うけど、
どれも人が恣意的につけた色とは根本的に異なる息を飲む何かがあります。
すごい。

前回読んだ本では言語学のアプローチで、
今回の本では光学のアプローチで、それぞれ色を楽しめました。
人間の見ている色は電磁波のごく一部の波長に過ぎないのに、
色には常に圧倒的な説得力があります。
とにかく写真が綺麗でした。
  1. 2017/04/23(日) 00:19:53|
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